彼氏と彼氏の彼氏と旅行に行きました。
彼氏と、彼氏の彼氏と旅行に行きました。簡単に言えば浮気されてました。
僕がいまの彼氏と付き合い始めて8年がたった。
大学4年生、21歳の時に出会っていまはもう29才になる。二人とも同い年だ。
彼はフィリピンの人だったから、遠距離を経て、彼の国に移り住んだ。
日本で就職することもなかったけど、当時は夢にあふれていた。
友人たちにゲイであることをカミングアウトして、これから何にも恐れずに誰にも差別されずに生きていける。諦めていた誰かと家族を作る。そんな夢まで現実になる、そんな気がした。
誰かと一緒にいること、それがこんなに力をくれるなんて。これから幸せになる未来を夢見て移住した。
フィリピンに移住して一年後、彼がニュージーランドで仕事を見つけて、ニュージーランドに移住した。24のときだ。
二人が法的に一緒にいられる国に移住できたことが嬉しかった。
永住権も得られた。
自分の人生の方向性も見つけられないまま、彼の行くがままについてきた。
やりたい仕事は日本においてきた。大学院も出たけれど、ニュージーランドで使える、そんな学問ではなかった。
だから、できることをやってきた。
ただ、それでも、彼と生きられること、それだけで幸せだった。
二人で、これから結婚して代理母で子供を作る。結婚式はどうしようか、プランまで二人で考えてた。
ただ、それでも僕らはずっとセックスレスだった。セックスの相性はさぼどよくなかったみたいで、徐々に回数は減り、多くても1ヶ月に1回ほど。それも、セックスという代物とは言えないような。
それでも僕はよかった。セックスじゃないところで結ばれてるそう思ってた。喧嘩はよくするけれど、なんだかんだ前に進めてる、そう思ってた。
二人は家族になったんだろうと思っていた。
8年間だっていろんなことがあったけれど、それでもなんだかんだ僕らには固い絆が結ばれている、そう思った。
ただ、彼氏と去年の6月、ちょうど7年目が始まったくらいから、ぎこちなくなった。
彼の職場が田舎から都会に変わり、夜遊びが増えた。今日も明日も帰ってこない日々が続いた。
セックスの回数なんてますます減った。コミュニケーションの数も減った。
二人でいても話すことは減った。何を話していいかがわからなくなった。
ただ、僕らはその1ヶ月前から、代理母のことを進めて二人でたくさん調べて病院にも行った。
愛されてると思っていた。この人と家族になるんだということが嬉しかった。
だから、いまはそういう時期なのだろう、と思っていた。夜遊びがしたい時期。都会に移って楽しいのだろう。
それから少しして彼氏は代理母の話をすることをやめた。
結婚の話もやめた。
ただ、夜遊びはもっと増えた。朝帰りか、帰ってきても朝の3時とか4時過ぎになった。
別れたいんだろうな、そう思ってた。
喧嘩をするたび、別れよう、と言ってきた。本気で言ってるんだろうな、と思った。
謝って許しをこいた。
大丈夫だから、変わるから。
彼はそれで許してくれた。
許してくれたから大丈夫なのだろうと思った。
でも、陰で自傷を止められなくなった。
彼氏に何か言われると、ちょっと外に出てくるわ、なんていって過呼吸が収まらなくなって、車の中で自分の顔を思いっきり殴った。
顔が耳が腫れるくらい殴った。
そうすると、感情の昂りがおさまった。
彼氏には一度見られたことがある。
別れよう、といわれた。
そんな精神状態じゃ幸せになれない。
ごめん。初めてやったし、もうやらないから許して。
泣いてすがった。
そのあと、一人で彼氏に見られないように泣いた。
ただ、それでも彼氏とは年末6週間の有給を取って海外旅行に行く計画を立てていた。まだ一緒にいたいんだな、と思った。なんだかんだ、この人は僕と一緒にいたいのか、そう思った。日本とフィリピンへの里帰り。僕ら二人の仲の良い友人達の何人かもそのうちの3週間ほど合流することが決まった。
彼は12月10日から、友人と2週間旅行に行き、そのあと、僕との6週間の旅行にその友人と合流したい。そう伝えてきた。
インドネシアに行きたいから、とのこと。僕も行きたいならいいよ、と誘われたけど、8週間も有給は取れないから、友人と行って来なね。そう伝えた。
旅行の計画も立てながら、10月に入った。
彼の誕生日。
自宅でホームパーティーをした。
誕生日会は盛り上がっていた。
初めて見る顔がたくさんあった。30人くらいいたかな。
あー彼はもう知らない世界にいるんだ、なんて悲しくなりながらもお酒をたくさん飲んだ。
トイレに行った。夜中の二時過ぎ。
もう寝ようか、なんてトイレに入った。
まだパーティは続いていた。
続くパーティーを横目にお手洗いをした。
鍵を閉め忘れたトイレに、
男の人が二人入ってきた。キスをしていた。
彼氏と旅行相手だった。
目があった。驚きながらキスをやめた。
めまいがした。何も言えず、
ごめん、もう寝るね。なんて言って部屋に入った。
次の日、彼は全てを否定した。
酔っ払ってたまたまキスをしただけ。
意味なんかない。それにあいつはストレート(女が好きな男の人)だと言い張った。
僕はそれを信じる以外になかった。
信じるフリをするしかなかった。
泣いて叫びたかったのだけれど、泣いて叫んで別れようなんていわれるのが怖すぎて。
ただ、
その友人とは旅行には行って欲しくない。そう伝えた。
わがままだ、と言われた。
チケットはもう買ってある。
今更、予定を変えるのはお前のわがままだ。
わがまま、なのかな。
わがまま、なのかな。よくわからなかった。
でも、うちの彼は賢い。頭がいい。間違いを絶対に認めない。悪かったなんて言わない。二人で話してくると、あー自分が悪いのかも、と思ってくる。8年間、僕がいつも謝ってきた。謝れば謝ってくれた。大人になるのは自分だ、なんて思ってた。
わかった。それでいいよ。ただ、旅行まで会わないでおいて、その人と。
それでもいい?と聞くと了承してくれた。
その話を数日経ち、
ゲイの友人に話した。そいつは元彼のこともその彼とも面識のない唯一のゲイの友人にした。
そのゲイの友人が、その男どんな見た目?
Facebookの写真を見せる。
その友人が、俺こいつとこないだゲイのアプリでメッセージしたよ。と教えてくれた。
気が狂いそうになった。
嘘だったんだ。ゲイだったじゃん。
彼氏に問いただした。
知らなかった。そう言われた。
本当に知らなかった、そう言われた。
信じた。
でも、ひとつだけ。彼との旅行やっぱりやめてほしい、頼んでみた。
わがままかもしれないけど、行って欲しくない。ごめん。
彼氏は了承してくれた。
インドネシア行きではないチケットを買い直してくれた。
それでもういいとおもった。感謝した。
僕のことまだ好きなんだ、そう思った。
12月に入り、旅行も近づいてきた。
彼氏が出張で別の都市に出かけた時、衝動に駆られた。
気がついたらゲイのアプリをダウンロードしてた。そのアプリは、居場所検索ができる。
彼氏のことをちゃんと信じるためにも、彼の今のいるホテル周辺で検索してみた。
ビンゴだった。
僕の彼氏がアプリ上にいた。顔写真じゃなかったけど、彼だった。
僕らの部屋で撮った写真。一番下の棚が壊れた洋服タンスの前で撮った写真。
一緒に買ったパンツ一枚で撮った写真。
めまいがした。
吐いた。
呼吸ができなくなった。近くに袋があった。泣きながら、そこに口を当てて呼吸を整えた。
帰ってきた彼氏に聞いてみた。
これについて説明して、お願い。
彼は言った。
説明することなんて何もなくてその通りだよ。
去年の6月から使って、何人かと実際出会ってやった。
やった相手の写真も見せられた。
狂ってるな、と思った。
それでも、僕はまだすがるように聞いた。
こないだキスした相手とは、本当にここで会ったんじゃないんだよね。
違うよ。会社関連のイベントであったんだよ。
本気で何にもない。
わかった、というしかなかった。
彼がアプリをやめるとかやめないとか、そのことを言ったら別れようと言われそうで言えなかった。
気持ち悪かった。
外で彼がセックスをしてるのか、それよりも散々馬鹿にされたんだな、と思うと気持ち悪かった。
ふと、8月に彼氏と久しぶりにキスをした時のことを思い出した。
久しぶりのキスもいいね。と言ったら、
彼はこう言った。ほら、俺ってうまいから。
そのことを思い出して吐いた。誰かに言われたのかな。誰かとあの時もう陰でキスしてたんだな、なんて悲しくなってまた傷ついた。
数日後、それでも何かにすがりたくて、考えて考えて、彼に伝えた。
オープンリレーションシップにしよう?半年様子見て決めよう?
性欲を満たしたいだけなのかと思った。そうしたら、また元に戻れるかな、そう思って提案した。
彼は賛成した。
ただし、家ではやらないこと。
友人とはやらないこと。
賛成してくれた。
これでまだ一緒にいられると思った。
彼が外でセックスをしてると思うと辛くて、僕もアプリをいれて、やった。その夜、車を運転しながら泣いた。
欲しいのはセックスなんかじゃない。
愛されたい、車の中で泣いた。
泣きじゃくった。
彼氏が旅行の1週間前くらいに尋ねてきた。
あいつと旅行に行ってもいい?
僕は答えた。いいよ。友達とはやらないって約束したんだから、いいよ。行ってきても。信じてるから。
彼は、本当に何もないから。と念押しした。でも、結局行かせてくれるんだから、無理やり買わされた新しいチケット無駄になっちゃったね、と少し責めるように僕に言った。
あのチケット、僕が無駄に買わせたんだな。
そうかもしれないな。
でも、また信じた。
信じて信じて馬鹿をみてるのに、
また信じた。
そして、僕の旅行も始まった。
旅行は楽しくなかった。
彼氏とその相手が二人でいることを見ると涙が出てきた。
二人はいつも一緒だった。楽しそうだった。二人の間に割って入るのが申し訳なくて。
でも、睨んでたと思う。本当は醜い感情が心の中を彷徨ってた。憎らしかった。
フィリピンから日本に来ると、友達みんな、うちの実家にも招待した。うちの親は車も出してくれて、成田や羽田まで友人達を迎えに行ってくれた。夜ご飯や宿泊場所、横浜に観光も連れて行ってくれた。
辛かった。
他の友人たちに元気がないね、なんて思われるのが嫌で明るく明るく振る舞った。元気がないね、なんて言われたら、泣き崩れてしまいそうで。
それからまた旅行は続き、その彼氏の相手はニュージーランドに戻った。彼氏は空港まで見送りに行った。その晩、一緒に旅行しているニュージーランドから来ている友人の一人が酔っ払ってぽろっといった。
去年の6月からの真実を教えてくれた。
二人がセフレであること、そして気持ちがあること、僕と別れたら付き合うつもりなこと。彼氏の相手は別れたら付き合うといってること。彼氏はまだ気持ちに決着がつかないこと。
そして、旅行にきてる人何人か知ってるよ。って。
君がかわいそうに思えたから教えてあげる。
裏切られた、と思った。
みんなに裏切られた、と思った。
知ってた人たちは、笑いものにしてたんだ、と思った。
あいつも馬鹿だなー気づかないでニコニコやって親にまで金出させてるよ。って。
深夜だったけど彼氏を起こして、問いただした。
全部教えてほしい。
彼氏はこういった。
否定も肯定もしない。何も言わない。
彼は本当に何も言ってくれなかった。
30分、何も一言も答えてくれなかった。
僕が泣き崩れても何も答えてくれなかった。
ハグだけしてくれた。ずるいと思った。僕らの8年間はこんなもこだったのか、と思って泣いた。ハグされてまた感情がぐらついて泣いた。
ただ、それが答えなんだと思った。
選択肢をくれた、半年様子まだみるか、旅行を続けるか、続けないか(いま、別れるか別れないか)
僕が決めていいよ。そう言われた。
ただ、一言、もう君が思ってる以上のことは別れてもいいように準備してるよ。
半年様子みたい。そう答えた。
彼氏も了承した。
もうわからない。
自分の気持ちなんてわからない。
馬鹿だな、ってみんな思うと思う。書いてる自分ですら思うのだ。馬鹿な弱い人間だ、と。
旅は今も続いてる。あと4日でニュージーランドに帰る。
実家の家族とタイに旅行に行き手違いで一人別の便に乗っている。
飛行機に乗りながら、
旅行中、二人で撮った写真は全然ないな、と思う。
別れるカウントダウンをしているみたいだな、なんて思いながら、一人で飛行機に乗っていると狂いそうになる。酒が飲みたい、と思っていたら、音楽アプリから、中島みゆきの化粧が流れた。この曲はいつもタイミングが悪い。
馬鹿だね、馬鹿だね、馬鹿だね。
馬鹿のくせに、愛してもらうつもりでいたなんて。
自分が愛されると思っていたなんて、本当に馬鹿だったんだな、と思う。
苦しくて苦しくて携帯のメモ帳にいま、気持ちを書きだす。
8年間付き合った僕らが(もしくは、僕が)これからどう変化していくのか。自分の気持ちに嘘をつかない場所としてブログにしたいと思う。
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